アジアの傷アジアの癒し

アジアプレス・インターナショナル編

2000年11月刊 A5判 290頁 風媒社 2,400円

【目次】
はじめに  吉田敏浩
光の島 内戦の闇●スリランカ  綿井健陽
タミルとシンハラのつくられた民族紛争
棄民たちの望郷歌●韓国、ロシア・サハリン、中国   安海龍
置き去りに古れた朝鮮人強制連行被害者と従軍慰安婦
引き裂かれた楽園●インド  廣瀬和司
カシミール、独立運動と抑圧の現場から
学校に行きたい●中国   馮 艶
内陸部農村の学校へ行けない子どもたち
砂塵舞う大地へ●トルコ  坂本卓
クルド独立の絶望と希望
悲劇の高砂義勇隊とその妻たち●台湾  柳本通彦
日本の植民地支配に翻弄された台湾先住民
動乱のなかの肖像●ネパール  小倉清子
ヒマラヤの王国を揺るがした民主化と三人のネウール人
国家と暴力の影の下で●インドネシア  和田博幸
民主化闘争と暴動・政変に人びとの悲しみを見た
弓と森と明星と●インドネシア・イリアンジャヤ  金武島菜
赤道の下、緑の辺境の知られざる独立運動
戦場・枯葉剤・虐殺●韓国、ベトナム  慶淑顕
ベトナム戦争から帰還した三人の元韓国兵
あとがき  野中章弘

誰かが記録せねば埋もれてしまう事実というものがあり、歴史の闇を照らす仕事というものがある。この四半世紀というもの、アジアを歩きながらそのような仕事をしたい、といつも願ってきた。
なぜなら、歴史の表にあらわれてくる事象の背後に、さまざまな人間の苦悩に満ちた営みがあるのを知ってしまったからである。むろん、ジャーナリストとして記録に残せるものはほんのわずかでしかない。そうとは承知しつつも、それを伝える努力を重ねるのが、現場に立ち会った者の責任というものに違いない。
本書に収められた十編のルポは、そのような思いに駆られたアジアプレスのメンバーたちによって記されたものである。表現者としてはまだまだつたなく、未熟な部分も少なくない。しかし、自らが目撃した歴史を記録するという情熱だけは読者にも感じとっていただけると思う。
最後にアジアプレスのことを紹介しておきたい。アジアプレスはアジアのジャーナリストのネットワークとして一九八七年に誕生した。言論の自由が抑圧されがちなアジアの国々にあって、「アジアのことはまずアジアのジャーナリストが伝えていくべきである」という理念のもとに約三〇名のジャーナリストたちが参加している。(本書「あとがき」より)

 

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