ギャンブルと依存症、そしてアジア文化
運命、宿命、幸運を強く信じる文化は、アジア人とギャンブルに熱中する原動力の一部である。このため、アジア人のギャンブル好きというのは、偶然の一致ではない。アジア人はその深い文化的な要因のために、ギャンブルを奨励するだけでなく、ギャンブル依存症に関しても、どのような支援も積極的に行わない傾向がある。
アジア人のギャンブル行動に影響を与えた文化的要因は数多くある。例えば、アジア人は、ボードゲームが大好きで、たとえお金を賭けたとしても、ギャンブルではなく娯楽の一形態だと考えている。
では、アジア文化とギャンブルの結びつきや、この行動がどのようにギャンブル依存症に発展するのかを見てみよう。
地域社会の問題
カンボジアや韓国、フィリピン、ベトナム、中国の地域社会では、国のリーダーやソーシャルワーカーらが、表面化していないこのパンデミックを見つけ出し、認知度を高めるよう、州の立法機関やギャンブル関係者に強く求めている。どちらの団体も表舞台に出てこないため、この問題がどれほど深刻なのか、誰も実態を把握できないでいる。
しかし、ある調査によると、10%近くの人が自身を病的なギャンブラーであると考えており、5%は問題のあるギャンブラーだと考えている。欧米諸国では、ギャンブルが人気の高い娯楽であり、どちらかといえば奨励されている。
一方で、アジア各国の政府は、ギャンブル活動を制限し、ギャンブル依存症を少しでも予防できるように法律を整備しているのだ。
ギャンブルにおける伝統
主に中国人について言えることだが、アジア人の多くは、ギャンブルを娯楽として当たり前に受け入れており、主に自宅や社交の場で楽しんでいる。中国の若者は、祖父母や叔父、叔母と一緒にギャンブルをして、お金を稼ぐことがよくある。中国人の多くは、運、運命、幸運の神秘に魅了されているのだ。
中国では、悪運は旧年に留まり、新年は幸運をもたらすと信じられているため、旧正月の間、中国人はこの理論が正しいかを実際に試してみようとする。また、アジア人は数秘術を信じており、8は縁起のよい数字で、4は死をもたらすとされ、避けられている。
このような考え方をしているのは主に中国人であるが、フィリピン人や韓国人、ベトナム人など他の国々でも同様の考え方が浸透している。
お金以上に失うもの
ギャンブル習慣には代償がつきものだ。毎年、多額の資金がアジアの地域社会から、ギャンブル業界に投じられる。それは元々ギャンブルに使うためのお金ではない。公共料金、食費、教育費、旅行などに使う予定だったお金を、ギャンブルに使ってしまっているのだ。
そのため、多くの専門家は、ギャンブルの問題を抱えるアジア人ための専門的な治療プログラムの実施を訴える。だが、アジア人がギャンブルに依存していることや、このような娯楽が将来的に依存症に発展する可能性があることを彼ら自身に納得してもらうのはまだ難しいようだ。
依存症と否定
アジア人のギャンブル依存症に関して言うと、依存症と否定の2点が最も一般的な特徴だ。 家族の一人がギャンブル依存症になっても、世間体を気にして、そのまま放っておくことがよくある。 当局関係者の多くは、ギャンブル業界の団体に対して、ギャンブル依存症の人々を支援するためのパンフレット配布を促進している。
中には、ギャンブルを制限するために、カジノのATMを夜間閉鎖する提案もある。また、カジノがギャンブル依存症を治療するための、多数のプログラムに参加することも期待している。